これほどまでに敗戦を引きずっているのは恐らく初めてだと思う。すぐにでも何らかの文章を書きたかったけれど、僕には何も書けなかった。正確に言うと、頭の中にあることがうまく文章にならなかった、ということになる。
このブログの運営パートナーであるNunoも、僕と同じようなことを言っていた。これほどまでに敗戦を引きずっているのは恐らく初めてだ、と。僕らは同じようにヴィオラの勝利を信じ、同じようにヴィオラの敗戦を引きずり、そして同じように文章を書けずにいた。
先に文章を書き上げたのはNunoの方だった。
彼は出張先のナポリから戻り、僕に原稿を送ってくれた。彼は僕の頭の中にあったことをほぼ完璧に文章にしてくれていた。長年同じチームを応援していると、やはりある種の傾向というものが出てくる。そういった部分に依存しなくても、僕とNunoの付き合いはかれこれ20年近くになる。その間、僕らは同じ街を愛し、同じ音楽に酔い、同じ酒を浴び、同じ夢を見てきた。考えることが似てくるのはわりと自然なことかもしれない。
そろそろNunoからのメールを紹介しようと思う。以下は、ユーヴェ戦とヴィオラのこれからについて、Nunoによって書かれた文章だ。
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ユーべ戦を冷静に振り返りたいと思う。
『ベテラン パンカロのミス』、これがイタリアでのメディア及び私を含む一般人の意見だ。私は毎日あの試合について考えていた。「こんな悔しい思いは二度としたくない、次に活かさなくては」、そういう思いからだ。この試合にはViolaを評価すべき点と反省点がぎっしりと詰まっていた。
先ずはポストに嫌われたトーニの幻のゴール :
皆がボールはゴールに吸い込まれると確信した。パッツィーニは万歳をして喜びを表した。しかし実際にはポストに嫌われた。シュートを放ったトーニ本人やパッツィーニが万が一の為につめていれば、ボールを押し込めたかもしれない。

パンカロのミス :
あの時点でのパンカロ投入というミステルの采配は正しかっただろう。ただパンカロがベテランらしからぬミスを犯したというだけのことだ。ミスであるということは本人にも異論はないだろう。しかし、冷静になった現在は、すべてのイタリア人が言っている。
「他のディフェンス陣はどこにいたんだ!?」
第一に、彼の本来のポジションはサイドバック。第二に、彼はディフェンスの選手とではなくブロッキとの交代で入った。何故彼が“あの位置”でトレセゲと競り合わなくてはならなかったのか。第三に、ゴールを決めたカモラネージのマークについてるはずのパスクアルはどこにいたのか。…ベテランのパンカロだけが状況を読んで戻っていた(そして結果的にミスを犯した)という好意的解釈も可能なのではないだろうか?

評価すべき点:
『引き分けでOK』、これは終了間際に恐らく誰もが感じていたことだろう。しかし同じ引き分け狙いにしても、引いて守り切るのと攻撃の形を作って前線でプレーするのとでは大きな違いがある。大抵の中小チームは引いてしまう為に攻められ続け、結局終了間際に決められる。そして終了間際に決める力をビッグチームが持っていることも事実だ。しかし、ヴィオラは決してそのような逃げ腰のサッカーをしなかった。攻撃こそ最大の防御であり、勝利を生み出す唯一の行為だ。ディフェンスの選手が誰も戻っていなかったのは反省点だが、相手のゴールを目指すこの姿勢は大いに褒め称えるべき点だ。
また、この試合ではポジションを問わず実に多くの選手がシュートを放った。プロと言えど、あの観衆の中でユーべ相手にシュートを放つのはそれなりに度胸の要ることだ。FW以外にも点を取れる選手が沢山いるというのは良いチームの必須条件だ。これからも積極的にシュートを放ってもらいたい。
試合後のインタビューでのトーニの表情は清々しかった。
「我々は全ての力を出し切った。だからこそ試合後(観客席に)拍手を送った。結果がついてこなかったのは残念だけれど」
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これから先は至って個人的な見解になるが、ユーベとの2試合を終え、セリエAで最高のプレイヤーはネドベドだと改めて実感した。理由など挙げ始めたら切がないし、サッカーファンなら誰でも分かっていることだ。ただひとつだけ言いたいのは、彼のディフェンスは相手の攻撃を止める為のものではなく、自分たちが攻撃を仕掛ける為のものであるということだ。
昔あるテレビ番組で分析されていたのだが、ユーべはインターセプトから得点までの時間が他のどのチームよりも短いらしい。この番組を見たのはネドベドがユーべに移籍する以前のことだが、これがユーべの伝統であり、それを最も象徴しているのがネドベドだと思う。
何故私が宿敵を褒め称える文章を書いているのかというと、Violaにもそれらを吸収してもらいたいたらだ。ユーべかミランかと言われたら、Violaのサッカーはミランに近い。エレガントで美しいサッカーだ。一方ユーべの選手たちは90分戦う為のペース配分など全く考えていないかのように走り続ける泥臭いサッカーだ。そして、序盤でフィジカルの強さを活かし相手を威嚇し、『ここまでだったら審判は笛を吹かない、ここまでだったらカードは出せない』という境界線を築き、ファウルすれすれ、カードすれすれのプレーでゲームを支配する。スポーツというよりは戦争だ。この辺りは見習ってほしくはない点だ。
勿論ViolaにはViolaのサッカーがあり、今フィレンツェのみならずイタリア中で脚光を浴び評価されている。これは贔屓目なしに事実だ。現在Violaは優秀な、そして有望なイタリア人を沢山抱えた最もバランスの良いチームだ。そして、昨シーズン ミッコリが「ViolaにはCATTIVERIA(狡賢さ)が必要だ」とコメントしていたが、相変わらずスポーツマンらしいサッカーをしている。これがViolaの伝統であり続けてほしい。

text by Nuno